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保育士にすすめたい保育に活かす マインドフルネスの方法

さまよう心

コロナの影響により、夏休みが短縮されている小中学校が多いそうです。リモートワークも推奨される風潮でありながらも、結局、出勤している方も多いです。多様な価値観の中で帰省や遠出、旅行に行くのは、色いろ意味でためらわれてしまう今、ストレスの対処方法は子どもも大人も急務です。

保育園の夏休み

保育園の夏は通常業務に加え、水遊び(今年はプールあそびをしない園もあるようです)の対応があったり、職員が順番に休みを取るため、あまり忙しさに変化はないのかもしれません。

忙しいと言われる理由はいくつもありますが、そのなかでも「保育士の現場は、園児の安全安心の場所として存在することが求められている」そう考えている保育士の方は多いでしょう。

しっかり子どもを保育するために、年齢による職員の配置数が定められ環境の充実が求められています。そのため多忙感を払拭できない状況にあります。

 

<職員配置基準>

0歳児  … 3人につき保育士1人

1,2歳児 … 6人につき保育士1人

3歳児  …20人につき保育士1人

4歳児以上…30人につき1人

(厚生労働省 児童福祉施設最低基準より)

 

人材の不足により、細かなシフト調整によって上記の基準を成り立たせているところも多いのかもしれません。

また、子ども達の行動は予想し難いものがあります。

突然の体調不良。朝元気に登園して、お昼ご飯もたくさん食べたのに、その後、発熱する…。おもちゃを広げて楽しく遊んでいるものの、

おもちゃの投げ合いが突如始まる…。

まるで監視するような気分で見ていないと、子どもが怪我をしてしまうのではないか、不安な気持ちも出てきます。加えて、常勤と非常勤の職員が入り乱れるように存在するため、いわゆる“ホウレンソウ”を矢継ぎ早に行わなければならないか、重要な事項を書類にしなくてはならない状況も日常茶飯事です。

このような保育士の状況は、闘争逃走反応と言われる状態になっています。

子ども達を守る! と一生懸命な状態は、交感神経が優位になり、アドレナリンがたくさん出て俄然バリバリやる気モード全開な状態です。

 

さまよう心

「Aちゃんはどこにいる? Bくん、そろそろトイレに連れて行く? Cちゃん着替えが必要かな? Dくん今日早帰りだけど、何時って言ってたかな?」同時に色いろなタスクが頭によぎり、頭の中で色いろ考え事をしているのに目の前の子どもと遊びます。

まるで千手観音のようにあちらこちらへ注意が向いて、気持ちもジェットコースターのように変化します。自分がトイレに行ったり、水分補給することさえ忘れてしまったりするほど、子ども達へ心を砕いて熱心に接するのです。

子ども達の安心安全を守るために、その<あちらこちらに気を配って、次の行動を考えて準備をする>保育士として必要な力は、些細なことで反応してしまうパターンになってしまっているのです。

しかしこれが度を越してしまうと、まるで急性ストレス反応のようになってしまいます。私達人間が元来、会得している扁桃体から出る危険信号のサインのことです。

 

マインドフルネスとは

マインドフルネスは、今という瞬間に判断せず、自分の経験に注意を払うことです。単純で簡単なものであると思ったことでしょう。しかし、この一見、単純な文言を実際に実行するのがかなり難しい場合があります。また、この説明は、多くの疑問を引き起こします。マインドフルネス瞑想を用いた心理療法もこの数年で爆発的に増え、研究も多くなされています。ある研究では、うつや不安、パニック障害などの治療効果も示されています。

 

“注意を向けること”とは

マインドフルネスの練習をする時、私達は常に“今この瞬間”において見ること、感じること、考えること、呼吸や体の感覚、といったそれぞれに注意を払うことが選択できます。しかしながら、目を向けたいのが注意の質です。

これはどういう意味でしょう? ただ単純に目で見ると、目の前のものはコップであると思うだけです。しかし、そのコップの大きさ、ガラス部分の厚み、それは誰が運んでくれたのか、どんな箱に入っていたのか、しっかり“見る”ということです。どのような温度をしていて、どのような手触りで、作った人はどんな人だろうか?ということさえも“見る”のです。

 

コーヒー瞑想のススメ

コーヒー瞑想

私がオススメしたいマインドフルネスタイムは、朝のコーヒータイムでの瞑想時間。

どうしても、朝は慌ただしく過ごしてしまいがち。しかし、たった一杯のコーヒーを丁寧に入れることで、その日の1日の流れが大きく変わります。

一杯のコーヒーを入れるのに、5分。もし、小さなお子さんがいて朝時間が取れないのであれば、職場の休憩の5分。コーヒーを入れる準備をしましょう。

肌寒い日ならカップを温めるだけにお湯を注ぎます。インスタントではなく、ドリップを選びましょう。ドリップパックになっているもので構いません。もちろん豆から挽いて香りの変化を味わいたい方は、そちらもオススメですし、コーヒーが苦手な方は紅茶やハーブティーでも楽しんでみてください。

 

コーヒー瞑想のやり方は、次の通り。

コーヒー瞑想のやり方

① カップを持ち、カップの温かさをチェックする

② カップに汚れがないか、しっかりと見る

③ お湯を注ぐ

④ カップの温度を感じたら、お湯を捨てる

⑤ ドリップをセットする

⑥ お湯を入れる前に一度香りを嗅ぐ

⑦ お湯をゆっくり湿らせるように注ぐ

⑧ お湯が滴る音に耳を澄ませる

⑨ 蒸気が上がっているか、しっかり見る

⑩ 香りがさらに広がっているか、目を瞑って観察する

⑪ ゆっくりとコーヒーを味わう

⑫ なるべくゆっくりコーヒーを飲む

⑬ 何か考えが浮かんできてもコーヒーへと意識を向ける

 

いかがでしょうか? 普段のコーヒータイムが充実したマインドフルな時間として過ごせますね。ヨガスタジオや瞑想のクラスに行かなくても、ほんの少しの心がけで私達はマインドフルな状態になることができます。

 

呼吸について

呼吸は私達の感情と密接に関連しているため、忙しい日々の中で呼吸を止めて、歯を食いしばって仕事や家事に追われているかもしれません。

吐く息に集中すると、副交感神経系が活性化することが知られています。マインドフルネスを身につけてさえしまえば、短い時間でも心が豊かになり、「今ここに」いることができます。それは、私達が現在の瞬間を自分らしく生きることを指します。

 

このマインドフルネスは、大人だけのものではありません。子ども達と一緒に行うことができます。子どもと行う時にオススメなのが、次の呼吸と組み合わせたものです。

 

おなか・むね呼吸のやり方(子どもと一緒に取り組むバージョン)

① 楽な姿勢で座りましょう

② なるべく背筋をしっかり伸ばして座ります

③ 片方の手を胸、もう片方の手をお腹に添えます

④ お腹にある手から胸にある手に空気が移動するよ」と声をかけ、上下に呼吸が体の内側で動くことを意識させながら、吸う息と吐く息を続けます

⑤「お腹、胸にたくさん呼吸が入って膨らんでいるね」と褒めます

⑥ 終わったらできる範囲で目をつぶって、体に何か違いがあるか観察させます

⑦ どんな反応であっても、それが“マインドフルネス ”であると信じて、子どもの反応を大切にします

※目をつむったり呼吸法を長くし続けると、子どもは嫌な気持ちを思い出して気持ちが不安定になることがあります。良くも悪くも、自分の感情に気付きやすくなるのです。ですので、子どもの反応を見ながら、回数や呼吸の長さを調整してください。

 

何気ない時間の活用法

通勤

通勤の時間でさえも尊い自分をメンテナンスする時間です。電車やバスに乗っている間、窓から外を眺めることはありませんか? そこから見えるのは人混み? ビル群? 住宅地? それとも大きな公園?

駅を過ぎていくたびに、本当は様ざまな素敵な景色があふれているのに、つい頭の中では「今日、Aちゃんママと面談だ...」とか、「明日のお出かけ△公園だ! ちょっと遠いな...」「B先生引率できないかもって言ってたけど...」「あ?絶対うちのC子、宿題忘れたの今頃気づいているよ...担任からまた言われるかな?」「来週末帰省しないことになったって、メール入れたけど返信ないな...」「隣のおじさんの汗気になる...」など、とてつもない量の“ムダで生産性のない思考”にばかり囚われています。

確かに読書をしたり、音楽を聞いたり、メールを返したりする時間にするのも良いでしょう。しかし、“一生懸命に脳を休めておく”ということも、仕事の時間にスタートダッシュして、サクサク業務をこなすためには大切です。

脳を休めるためのおやすみモードは、ただ単に寝るだけではありません。“考えない”ということを練習すること、それもマインドフルネスの1つの要素です。

毎日同じ景色かもしれませんが、実はよく見ると、誰かの素晴らしい人生の一コマが繰り広げられていたり、素敵な形の建物に気づいたり、速いスピードからのぞく空の青さに気づくことができるかもしれないのです。

時にはそれが本当に簡単に見つけやすいこともあれば、こと細やかに集中して見なければならないこともあります。ただそこに見える景色をじっくり味わうように観察する。旅行や、山登りや森の中、海辺でよくしたりする、あの素晴らしい景色を見た時の感動体験は、日常生活であってもできるのです。

 

最後に…

今を楽しむ

忙しい毎日に、心の余裕など持てないのかもしれません。しかし、あなたは、あなただけのために自分だけの時間を作れるのです。たった1分からでも始めてみませんか。

あなたはいつでも、マインドフルネスで今を楽しむことが出来るのです!

 

 

 

参考文献

貝谷久宣・熊野宏昭・越川房子(2016)「マインドフルネス ―基礎と実践― 」日本評論社

 


ライタープロフィール:太田千瑞

ホームページ: 太田千瑞公式サイト

東京都公立・私立学校スクールカウンセラー、臨床心理士、ヨガ講師、筑波大学心理・発達教育相談室非常勤相談員。

初の著書「イラスト版子どもの発達サポートヨガ」が発売中。

Yoga Laboratory ~ 先生達のセルフケア研究会 ~ のアドバイザー

ホームページ: Yoga Laboratory

イラスト:Yukari Sato Instagram

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